余呉町全長寺のアジサイ
2018年06月13日

余呉湖の北にある古刹全長寺は、余呉川の支流がつくった平地に堂を構える。寺の周囲を田んぼがとり巻き、山裾に村々が点在する。それらをつつむように山が連なっている。
全長寺は、もとは浄土宗の小さな坊だったという。その後曹洞宗に転じ、江戸時代後期に近隣の五ヵ村から境内地の寄進を受けて、現在の伽藍が建てられた。
本堂へ上がり内陣の天井を見上げると、鮮やかな花と樹で彩られている。格天井の一つひとつの格子にウメ、ボタン、ユリ、モミジといった四季の花木が描かれている。
絵の贈り主は、近在にあった尼寺だという。寄進する財を持たない尼寺の庵主が、長い期間をかけて托鉢に歩いた。そのようにして受けたお布施をときの禅師に託したのだという。
全長寺は、アジサイ寺として知られる。住職が、まわりの田んぼで育てたアジサイを境内に植え続けてこられた。
本堂の天井画のように、仏様を荘厳するとともに花を愛でることで、多くの人たちに寺にお参りしてもらいたい。住職のそんな願いが込められている。
アジサイは梅雨の季節によく似合う。風土に合った花である。アジサイの原産地が日本だと聞くと、なるほどと思う。
ところが、西洋から新しい文化がもたらされるまで、わたしたちの先人にとってアジサイはそれほど身近な花ではなかったようだ。現在もっとも一般的に植えられている品種は、セイヨウアジサイである。
日本に自生していたガクアジサイが18世紀末に西洋に渡って園芸用に改良され、明治以降に里帰りしたのだという。

Posted by 風まかせ at
23:10
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