木之本町古橋の茶の花
2018年11月28日
茶の木は初夏の風物詩だが、花は初冬に咲く。寒さに耐えるように下を向いていて、ポツン、ポツンと葉の間に見える。
一つひとつの花は、とても鮮やかな色と形をしている。真っ白な5枚の花弁のなかに、黄色いおしべが房になって輝いている。
まほろばの里といわれる木之本町古橋から石道にかけての丘陵に、茶畑が広がっている。
近年、鶏足寺の周辺は紅葉の名所になっていて、最盛期にはたいへんな賑わいを見せる。
そんな賑わいが去った後、初冬の静かな山道を歩くと、白と黄色の可憐な花が、濃い緑の茶の木のなかに点々と咲いているのを見つけることができる。
古橋にある己高閣から鶏足寺に向かうと、なだらかな丘陵がうねるように広がり、小さなアップダウンを繰り返しながら山道を辿る。
茶畑は、亀山と呼ばれる丘陵を包むように広がっている。亀山は標高177mあまりの低山で、山というよりも丘といった方がふさわしい。まほろばと呼ぶにふさわしい風景だ。
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07:04
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西浅井町菅浦のミカン
2018年11月23日
湖の奥にしずまる隠れ里。そんなイメージで語られる菅浦だが、風景は晴れやかである。目の前にびわ湖が広がり、竹生島が浮かぶ。町は南に開けている。そして背後は山。低くはない里山が、北風を遮っている。
晩秋、菅浦を歩くと、ミカン、ユズ、ハッサクといった柑橘類が豊かに実っている風景を目にする。
集落の中に耕地はほとんどない。植えられているのは、山の斜面や家の前にある小さな畑、お寺の参道沿いなどである。
とりわけ、町の手前にある山裾には、中腹までゆるやかにミカン畑が広がっている。かつて、ここでミカン狩りを体験した人は少なくないだろう。お昼に鴨すきを味わって、食後にミカン狩り。民宿旅館を営む地元の人が始めた事業だった。
菅浦の気候と風土に適した温州ミカンの栽培は、最盛期、何軒もの家で行われたという。樹木には、土地の歴史的、文化的な意味が込められている。
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09:44
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長浜農業高校のイチョウ並木
2018年11月18日

長浜農業高校にあるイチョウ並木の黄葉が、年を経るごとに鮮やかさを増している。県道に面した校門から東へ一直線に道路が伸びて、色づいたイチョウ並木がシンメトリーに並ぶ。
ゆるやかな起伏の里山に包まれた田園風景のなかにあって、イチョウ並木の幾何学的な美しさは新鮮だ。
学校が現在の場所に移転した時に、当時の在校生によって苗木が植えられた。昭和49年から4年間をかけて横山丘陵の麓に移転したが、各年度の卒業生が40本ずつ、合わせて160本のイチョウの苗木を学校へ贈った。
校門からイチョウ並木が終わる交差点までが約330m。そこから北へ、校舎へ伸びる約170mの道沿いにも並木が続いている。合わせて500m。
長浜農業高校の先生が調べたところ、現在、大きく育っているイチョウの木は120本あり、そのうち雌の木は51本だという。毎年、秋に雌の木にたくさん銀杏の実が成る。

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06:35
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高月町雨森のイチョウ
2018年11月13日
イチョウの黄葉は壮麗だ。天を突くような巨木が全身を黄色に染めて屹立している。そこに晩秋の陽の光が当たると、いっそう厳かな雰囲気が漂う。
雨森の天川命神社にイチョウの巨木がある。村なかの道を幾度か曲がって、正面に神社の鳥居が見える道に出ると、鳥居の高さの数倍はあろうかという木が望める。
取り巻く民家の屋根から抜きん出ており、黄葉の季節は周辺が黄色で埋め尽くされる。「宮さんの大銀杏」と呼ばれ、親しまれている。
イチョウは神社の境内に多い。これには理由がある。木之本町杉野の石道寺跡の境内に、火伏せのイチョウと呼ばれる巨木がある。
江戸時代、杉野の村は二度の大火に見舞われたが、石道寺はイチョウのおかげで難を逃れた。以来、だれ言うとなく「火伏せの銀杏」と呼ぶようになった。火に強いのである。
天川命神社は延喜式内社とされ、雨森という名の元になった古社である。天川命と称する神様が降臨したことから天降里と呼ばれ、それがのちに雨森と改められたのだという。
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07:33
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米原市 曲谷白山神社の乳イチョウ
2018年11月10日

イチョウの黄葉は美しい。鎮守の森のなかで、黄金色に染まるイチョウの巨樹に出会うことが多い。
イチョウは生きる化石といわれる。地球上に恐竜が跋扈していた頃、世界中に繁茂していた木だという。
はるかな地球の歴史とともに生き物が盛衰を繰り返すなかで、ただ一種のイチョウが中国に残った。それが現在のイチョウの木である。
イチョウは日本の山野に自生していた木ではない。おそらく万葉のころ、中国から渡って来たのだろう。社寺の境内に多く、それらの木には弘法大師お手植えといったような、さまざまな伝承が語り伝えられている。
曲谷白山神社の境内にあるイチョウは、不思議な樹相をしている。乳イチョウと呼ばれ、横に大きく張った枝から乳房のようなものが垂れ下がっている。巨樹に見られる気根といわれるもので、女性がこの木に祈ると、健康な子どもが授かり、お乳がよく出るという言い伝えがある。
秋が深まると、曲谷の夕暮れは早い。西の山に太陽が傾きかけた頃、白山神社の境内に佇むと、柔らかな陽光を通してイチョウの黄葉がいっせいに輝きを放つ。

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05:53
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米原市 岩脇稲荷神社のサザンカ
2018年11月05日

米原市岩脇にある岩屋善光堂というお堂を訪ねたときのこと。岩脇山の麓にある稲荷神社の境内でサザンカの巨木を見つけた。
幹回りはケヤキの成木ほどもある。横に張り出した枝一面に、薄紅の一重の花びらをつけている。神社には境内を圧するように屹立するスギやイチョウが多いが、岩脇の稲荷神社の主木は艶やかなサザンカのように思える。それほど堂々としている。
岩脇の名は、町が大岩のあるお寺のそばにあるところから名づけられたという。岩屋善光堂は、岩の急斜面に張り付くように建っている。
お堂の床が、何本もの長い束で支えられた舞台造りという構造である。急な石段を上がってお堂に入ると、三方に開かれた窓からびわ湖が一望できる。正面には石造りの阿弥陀如来様を祀る厨子があり、背後の壁が一面すべて岩である。建物が岩と一体となっているのだ。
村人が神を祀り仏を崇めてきた岩山に、サザンカの木が美しい花を咲かせる。


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07:17
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長浜街なか 十一川のヒメツルソバ
2018年11月01日

十一川は、長浜の街の南をびわ湖へ流れている。この川は旧長浜町の境にあたる。北国街道を南からやって来ると、十一川に架かる橋を渡るところが十一町。江戸時代の長浜町52町の一つである。橋の名も十一橋という。
十一橋から東を望むと、白壁の蔵と石積み護岸、そして十一川の美しい流れが望める。長浜の好きな風景の一つだが、田町通りの橋が架かっているのが見える。
そこから上流には、舗装をしていない細い道が川に沿って続いている。晩秋、この道を歩くと鮮やかな薄紅色の花を楽しむことができる。
しっかりと組まれた自然石の護岸を覆うように、所どころにヒメツルソバの花が咲いている。ヤンマーミュージアムの北側から三和町の、あけぼの公園の手前辺りまで。川に沿って、のんびりと歩くことができる魅惑の隠れ道である。
ヒメツルソバは、一つひとつの花が金平糖のようにかわいくて愛らしい。小さな花が無数に集まって、タペストリーを掛けたように帯状に川の石垣を飾っている。一つの花が咲いている期間も長いのだろうが、冬が始まる頃まで、次から次へと咲き続ける。
この植物は、明治期に大陸から渡ってきた外来種である。ガーデン用に輸入されたものが野生化したのだろう。道ばたのコンクリートの切れ目に生えついて、広がっている花を見かけることもある。強靭さをひしひしと感じるが、在来の植物を駆逐するといった話は聞かない。


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18:48
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