高月 野神塚のムクノキ
2018年08月20日

高月町には、村の入口などに野神塚が多い。「野神さん」と呼ばれ、巨木にしめ縄が張られ、神の依り代として祀られる。
多くはケヤキやスギなどだが、高月町高月の野神はムクノキである。周囲は開発が進み、工場地帯の中に浮かぶ緑の孤島のようだ。
野神塚には、郷土の義人といわれる前田俊蔵にまつわる歴史が刻まれている。明治16年の夏、湖北の村は大旱魃に襲われた。高月、落川、宇根の3村の人々は、高時川にある餅ノ井の堰を切って水を田に注ごうとしたが、高時川の流れそのものが枯れつつあった。
地元に住む前田俊蔵は、友人とともに美濃と越前を分ける山上の夜叉が池に登り、池に棲む竜神に雨乞いをする。すると3日目にして大雨が降り出し、稲穂が青くよみがえったという。
数日後、俊蔵は田の神を祀るムクノキの樹の下で自らの命を絶つ。雨を降らせてくれた竜神との約束を果たしたのである。史実である。
ムクノキの語源はいくつかの説がある。「皮をむく」という言葉から来たという説や、「木工」や「杢」という言葉が転化したという説、よく茂る木という「茂くの木」の意味から来たという説などである。
高月の野神塚のムクノキを見ると、「茂くの木」という説を推したくなる。四方に枝を張り、俊蔵の偉業を称えるように立っている。


Posted by 風まかせ at 07:02│Comments(0)