長浜市 舎那院のフヨウ
2018年08月14日

フヨウはアオイ科の木である。タチアオイやゼニアオイも盛夏に華やかな花を付けるが、こちらは草の仲間だ。
「この紋所が目に入らぬか」でお馴染みの徳川家の家紋は三つ葉葵。フタバアオイの葉を図案化したものだ。
アオイの名は「仰ぐ日」から来ているという。葉に向日性があるためである。多くの草木に盛夏のイメージがあるが、フヨウの姿には秋の気配が感じられる。
舎那院のフヨウも8月初旬にはチラホラと咲き始めるが、最盛期はやはり秋の気配が漂い始める頃である。
舎那院の境内は広くはない。山門を抜けると、西に鐘つき堂があり東に太子堂がある。まっすぐに奥へ石畳が延び、正面に本堂が建っている。
本堂の西側に「愛染明王堂縁側」と刻まれた石碑が立っている。一燈園の創始者である西田天香が悟りを開いた場所である。
天香さんは長浜の紙問屋の長男として生まれた。二十歳のとき、北海道開拓団の責任者として百戸の小作農を引き連れて北海道へ渡るが、志半ばで帰ってくる。
舎那院の愛染堂で三日三晩の断食に入り、4日目の朝、赤ん坊の泣き声を聞いて大悟したという。明治36年のことである。
残暑の頃、そんな境内一面にフヨウの花が咲く。薄紅色や白色の花と淡い緑の葉が涼風に揺れる。軽やかな樹である。


Posted by 風まかせ at 23:43│Comments(0)