栃ノ木峠のトチノキ
2018年07月24日

栃ノ木峠の名は、峠に群生するトチノキに由来する。最大の巨木は樹齢500年というから、柴田勝家が越前北の庄から安土への近道として、この道を整備した頃には、じゅうぶんな成木になっていたはずだ。
余呉町中河内の集落から北へ向かうと、ゆるやかな登りの先に国境の峠がある。峠の先は深い谷である。
街道は、急勾配の道を板取宿まで下りていく。トチノキの巨木は、峠道を少し下ったところに立っている。現在は国境を越える国道の橋が、トチノキの森をまたぐように架かっている。
橋からの眺めは壮観だ。深緑の樹海を浮遊するような気分である。なかでもトチノキの巨木は抜きん出ている。樹高25メートル、幹回り7メートルという堂々とした樹だ。
トチノキは、初夏に白い花をつける。巫女が神楽舞で鳴らす鈴のような円錐形の房が、葉の付け根から立つように群がり咲く。
大きな葉は、鈴を持つ手のひらのようにも見える。秋になると、花が終わった後の枝先に堅い実が成る。
パリの街路樹マロニエは、トチノキの仲間である。イギリスではホースチェスナットというが、実を食べるかは知らない。
種はアクが強く、そのままでは食べられない。採った種を数日間水に晒して皮を剥き、木灰を混ぜて熱湯を注いで何度も水洗いする。それを蒸篭で蒸し、米に混ぜ搗いて餅にするという。たいへんな作業だ。
米原市甲津原の交流センターで栃餅をつくっている。茶色がかった肌をした餅は、ほのかな苦味がある。

Posted by 風まかせ at 20:54│Comments(0)