岡高神社のカタクリ

岡高神社のカタクリ


 カタクリの花には、春の妖精という言葉がふさわしい。山で出会うたびに、自然はこんなにも可憐な造形を見せてくれるのかと見惚れてしまう。
 二枚の葉から細く伸びた茎が、放物線を描くようにゆるやかに曲がり、その先に一輪、薄紫の花がうつむき加減に開く。
 カタクリの花は落葉から少し頭を出したほどの高さだ。うつむいていては、きれいな花びらの表を見られない。だから自らを惹きたてようと、6枚の花びらを精一杯反らせる。自然淘汰の結果なのだろうが、その健気さに感心する。
 湖北の山では、ゴールデンウィークの頃に落葉樹の林床で見かけることが多い。高島市マキノ町の奥にある赤坂山や乗鞍岳、米原市醒井の上にある松尾寺山など、明るい雑木林の山に多い。
 長浜市北ノ郷町にある岡高神社のカタクリに出会うと、山に咲くという既成のイメージを覆す新鮮さがある。神社の本殿をつつむように広がる林のなかに、群がり咲いているのだ。
 林のまわりは七尾山へ続く丘陵と畑が広がり、民家が点在している。境内では子どもたちが戯れ、社守りの古老が落ち葉焚きをしている。そんな風景のなかにカタクリの花がある。
 岡高神社は、延喜式神名帳に記された古社である。戦国時代、本社の別当として神宮寺の清涼院があったが、織田信長が近江へ攻め入ったとき、その焼き討ちを逃れるために、信長の父信秀が崇敬した天満宮を勧請したという。神社は素盞鳴命とともに菅原道真を祀り、旧下草野村15村の総社として栄えてきた。
 岡高神社のカタクリは、雪解けを待って咲く山の花よりも一か月ほど早い。北ノ郷町の通り沿いに「郷社 岡高神社」と刻まれた石柱が立っている。参道はそこからはじまる。 
 ソメイヨシノの並木が奥へ続き、彩りを添える。正面に鳥居が現れ、その奥に拝殿と本殿が構えている。カタクリは、左手の雑木林のなかに自生している。



Posted by 風まかせ at 12:42│Comments(0)
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