彦根庄堺公園のハナショウブ

彦根庄堺公園のハナショウブ

 ハナショウブの花びらは、浜ちりめんの肌のようだ。白生地のうえに淡い紫色をぼかして散らし、目の覚めるような紅をポイントとして配している。
 濃い色合いの花は紫紺や群青、臙脂。薄い色合いのものは薄紫や藤色、水色と、和の伝統的な色で、ていねいに一つひとつの花びらに色付けがなされているかのようだ。
 しかもモノトーンではなく、紫から水色へといったような微かなグラデーションを描きながら変化していく。友禅染の職人が描いた絵のように繊細で緻密な模様である。
 その色合いが、ふんわりと梅雨空に溶け込んでいく。清らかな水のある風土と雨の季節に似合う花である。我が国でつくられた園芸植物の傑作の一つといえる。
 彦根の庄堺公園は、15年あまり前に開設された彦根市の地区公園である。ハナショウブの前に約1200本のバラが公園を彩り、ハナショウブの後にはサルスベリが咲く。
 公園は、犬上川の北岸に位置している。かつて、この辺りに青柳庄という荘園があったといわれ、明治22年の町村制施行により、荘園の名から南青柳村が成立している。
 公園がある場所は、「北庄堺」、「中庄堺」、「庄堺」と、南北に細長く小字の地名が連なっている。庄堺公園の名は、そのあたりに由来するようだ。
 犬上川は、幾度かその流れを変えており、昔は庄堺公園の辺りを通ってびわ湖へ注いでいたという。いずれしても、この辺りは青柳や甘呂といった豊かな水を連想させる名のついた地名が多い。犬上川の伏流水によって、豊かな水がもたらされるのだろう。ハナショウブの咲く環境に適した風土なのだ。


彦根庄堺公園のハナショウブ



Posted by 風まかせ at 22:24│Comments(0)
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